サイトタイトル

インプラント
Implant

インプラント

埋入外科に必ずしもCTは必要ありません。CTでも菌までは写りませんし、画像と実際とは微妙にズレがあるのでCT画像から作る埋入用ガイドに頼りきれません。開けて見て触って分かる事が多く、シミュレ-ションどおりにいかない、想定外の事にどう対応できるか、が問われます。

コントロールの悪い糖尿病、ヘビ-スモ-カ-、大量の飲酒、BP製剤やステロイド長期服用、重度歯周病の方にはインプラント治療はお勧めしていません。粘膜を破壊する歯周病菌はインプラントの粘膜貫通部の封鎖も破壊します。稀に、居残った菌が原因で埋入したインプラントを撤去することがあります。感染骨の 掻把、自然骨再生後、再埋入すれば問題はありません。

骨だけでなく軟組織とも結合しうるノーベルバイオケア社(上部構造込み:1本35万円~)、バイオホライゾンズ社(同じく1本25万~)のシステムを使い分けています。周辺自家骨を使った骨造成、サイナスリフトは手慣れています。基本的に2回法、ネジ止め固定です。インプラント埋入や骨造成といった外科よりも上部構造の製作に手間暇がかかり、その精度が長期の予後にも大きく影響します。

インプラントの最大の長所は、他の歯に負担をかけず、噛める所が次から次へと駄目になる負の連鎖を止めることができる点です。インプラントは決して虫歯に なりません。再治療を繰り返し、歯髄を失い脆くなり、過剰な力で崩壊したり根の虫歯で腐ったりして歯を失っていく「虫歯タイプ」は、歯周病が進まなければ、ご自分の歯を支えに使うブリッジや入れ歯よりも悪くなりにくい修復方法です。

そのかわりインプラントは粘膜貫通部から歯周病菌が入り込んで骨が溶ける インプラント周囲炎になります。歯周病菌はいわゆる歯周病だけなく、歯髄が死んでできる根尖病巣や歯肉の下の根の虫歯の周囲で増える菌でもあります。イン プラントのケアとは歯周病菌の増えない環境を作る虫歯と歯周病のケアにほかなりません。口腔の厳しい環境下では上部構造の破損、劣化が避けられません。修理、再製もインプラント部のメインテナンスも自費です。費用はかかりますが、相互信頼が得られる方には生涯責任を持ちます。

インプラントの上に作る人工歯冠修復について

天然歯の審美修復と同じジルコニア素材、ブロックを削りだし加工をします。製作の途中で、モックと呼ぶレジン(青い色を付けたプラスチック)の状態で試適、インプラント体との適合、隣在歯との適合、歯肉からの立ち上がり、粘膜封鎖のチェック、咬み合せの綿密な調整、頬を噛むか?、しゃべりにくくないか、舌感がどうかなど、すべて一度口腔内で歯科医師が調整(ふつうは、CAD/CAMであっても模型だけを基準に口腔外で技工士が最後まで作るので、細かい誤差修正が難しくなります)します。

天然歯修復でも、インプラント修復でも、結果的に精度の低い修復になってしまうと問題が起きてしまいます。 天然歯修復で精度が低ければ、2次カリエス、歯根への感染で、支台歯を失います。 インプラント修復では、インプラント周囲炎の原因として最も頻度が高いのが、精度の低い修復物による隙間に菌(歯周病菌)が繁殖しておこる インプラント周囲炎、これがインプラント失敗、おかしくなった、という問題の中にかなり高い割合で含まれます。 外科の部分も重要といえますが、その段階でおかしければよい結果を望めません。それだけでなく人工歯冠(場合によっては人工歯肉付き)での修復の質、出来、不出来も予後に大きな影響があります。 また、修復物がきちんと機能したり、審美的に満足できるものになるためには、天然歯修復以上に厳しい、高度な修復が必要になります。 上物がきちんと噛める構造でなければ、インプランントで支えているだけでは駄目になる可能性が高くなります。天然歯と隣あう部分では天然歯は動く、インプラントに支えられた人工歯冠は動かない、その間の隙間にものが挟まるようですと、これも周囲炎を引き起こし、インプラントを支える骨が吸収してインプラントのねじ山が露出、汚染されていく、この悪循環を止められない状態に陥ります。

当院はすでにジルコニアの削りだし加工のみで人工歯冠を作る事が技術的に可能になった3年ほど前からすべて ネジ止め固定のジルコニア単体、削りだし加工、そのために技工士が口腔外で作ったモックを患者さんの口腔内で試適して、細かなチェック 調整、是正を歯科医師が行い、これでいいというまで是正した(削るだけでなく、足すことができる、形をいかようにも変えられます) ものを技工士にバック、それを基準に読み込ませて、立体的に非常に近いものをジルコニアに置き換えます。 ネジ止め固定では、粘膜貫通部にセメントが入り込むリスクを下げることができます。セメントが異物として粘膜封鎖を壊して始まるインプラント周囲炎は かなり多いようです。